研究所移転の流れ

研究所を新しくしたいと考えたときに、どのような段階を踏んでいく必要があるでしょうか。

研究所移転計画を立てるにあたり最も重要なことは予算がいくら必要かというお金の問題ではないでしょうか。立地はある程度決まっているとした場合でも、現在の研究所をそのまま移転するのか、将来の人員増、新規プロジェクト立ち上げを見据えて拡張するのか、散らばった拠点を集約しコンパクトにするのかによって規模は大きく異なります。さらに機能によっても合成実験室が数多く存在する、実験動物施設がある、クリーンルームが必要など金額に大きく影響します。そのため、まずは現状を把握し、新研究所に必要な機能を整理する調査、企画設計の段階が必要となります。ここで整理した情報を踏まえ、大まかな建物規模と機能ごとのゾーニングを設定し、おおよその予算感とスケジュールをつかむのが基本計画の段階となります。

おおよその予算をつかんだ上で、実際の要望を取り入れた設計図を描いていくのが次の設計段階になります。この段階はユーザーの要望を最大限取り入れ、様々なデザインをしていく基本設計と施工者が十分に見積もりを取れるような発注用の図面を仕上げていく実施設計とに分かれています。納得の行く研究所を作るためには基本設計の段階で綿密に打ち合わせを行い、要望を反映させていくと共に、コスト管理をきちんと行い、予算内に収まっているかの確認が欠かせません。しかし、研究所設計に不慣れな設計者では要望の理解とコストの把握に限界があります。このような場合には、我々、ラボラトリーコンサルタントが間に入ることで、要望の反映とコスト管理をお手伝いすることができます。また、多くの場合、移転に伴い新規の実験台やドラフトなども購入されるでしょう。これらには設計段階から対応をしておく必要があるものも多くあります。その際の、メーカー、商社の選定、仕様の決定、価格の査定なども研究所を多く手がけてきた我々がお手伝いできることです。

設計が完了しますと、施工となります。施工者の決定には多くの場合、費用の削減、透明性という観点から入札という形をとります。その際には工事価格が適正か、見落としをしているところがないか、しっかり査定する必要があります。施工者が決まり工事が始まったあとも設計図どおりに工事が行われているかという基本的な監理のみならず、ドラフトが必要な位置にダクトが来ているか、水が必要な位置に水道管が引かれているか、窒素などの配管が必要なところに取り出しやすい高さで来ているか、コンセントは実験台を置いても使いやすい位置で数は十分かなど研究所特有の確認事項が数多くあります。これら施工者の選定から工事の監理まで研究所に対する理解がないと難しいものです。

工事が完了しますと、新設什器の設置、引越しを経ていよいよ稼動開始となります。新研究所での研究をスムーズにスタートするためにも設計、工事監理は研究所の中身を理解した者が携わる必要があります。せっかく新しい研究所ができたのに、コンセントが足りない、ブレーカー容量が足りない、ドラフトが接続できないなんてことになったら目も当てられません(実際にあった話です)。

研究所の設立は多額の費用がかかる一大プロジェクトですが、綺麗で、安全で、効率的な研究所は研究員のモチベーションアップ、顧客、ライバル企業へのアピール、優秀な社員のリクルートにも有効です。より良い研究環境を作るために我々専門家集団の知識と経験を是非ご活用ください。


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